いつもK@non mediaをご覧いただき、ありがとうございます。
Kanon株式会社の代表をしております、岩津です。
本日2024年2月22日、Kanon株式会社は2周年を迎えました。
これも2022年2月22日の設立以来、みなさまの支えがあったからこそと深く感謝しております。
私たちは今後もクリエイターと共に「心地よい選択のできる世界をつくる」というミッションのもと、クリエイティブの力を信じ、事業を展開していきます。
そんな記念すべき本日は、Kanonのロゴが生まれるまでのお話を、当時デザインを担当した、デザイナーの井上よりお話させていただきます。
創業期、華々しい実績も、かっこいい肩書きもなく、在るのは原体験とそれに基づいたビジョンのみ。
今より更に何もなかった当時の私たちが、どういった経緯でロゴの制作を進めていったのか、また駆け出しのデザイナーがどのような心持ちでロゴ制作に取り組んでいたのかをまとめました。
こんな方におすすめです
- 創業間もないタイミングで、ロゴの制作に悩まれている方
- ロゴの制作過程を覗きたい方
- 駆け出しのデザイナーさん
- 独学から未経験でデザイナーになった方
- ベンチャー企業に一桁社員として入社した方
- Kanonに興味を持ってくださっている方
Kanonのロゴが生まれるまでのお話
はじめまして。
Kanon株式会社、デザイナーの井上です。
今回は当時、約半年間にも及んだKanonロゴリニューアルの過程を振り返ってみようと思います。
ロゴを一度も制作をしたことのなかったデザイナーが、このプロジェクトを通して学んだことをひたすら文章に書き留めました。私がロゴを制作する際に沢山のブログや記事から助けていただいた様に、この文章が誰かの手助けになることができたらと嬉しく思います。
ロゴリニューアルに至った経緯
2021年12月頃、Kanonがまだ法人化する前、突然の社長(以下:かなさん)からの一言で約半年間に及ぶロゴリニューアルの長い旅が始まりました。
「ともちゃん(私)、Kanonのロゴ制作してみない?」
「え、私ですか?」
本当は二つ返事で答えないといけない場面ですが、私は思わず聞き返しました。
なぜなら私は今まで、ロゴを制作した事など一度もなく、普段は主にWebサイトのデザイン業務等を行っていたからです。
ですので、ロゴ制作はおろか、グラフィックの知識等はほとんどありませんでした。
また当時Kanonには既に何年も使用しているロゴがあるため、勝れるものを生み出せる自信がなかった…というのが本音です。
さらにその2ヶ月後には法人化することが決まっていたので、このタイミングでロゴを制作するのは、デザイナーとして光栄な反面、荷が重く、正直戸惑いました。
ですが、そんな大事な節目にお話をいただいたことはやっぱりとても嬉しく、悩んだ数秒後には、「是非やらせてください!」とお返事をしました。(何事も一度はやってみようという精神です。笑)
ロゴリニューアルのきっかけ
まずはじめに、なぜ今回新しくロゴを作り直すという決断に至ったのかを、かなさんに伺いました。
「今のデザインはとても気に入っている。けれど少し視認性の悪さを感じる。」
これが今回ロゴをリニューアルすることになったきっかけでした。
また法人化にあたり心機一転したい、そして新たに策定したミッションや会社としての在り方などを反映し、これからのKanonを作っていく基点になるようなロゴに変更したいとのご要望でした。
まずはヒアリング
そこから、実際にロゴを制作する前に、細かいヒアリングを行いました。
- ロゴを通して、なにを一番伝えたいのか
- どんな未来を作っていきたいのか
- Kanonらしさとはなにか
- 今後どういう風にKanonを見てもらいたいのか
などKanonの今後なりたい姿、あるべき姿などを一緒に考えていきながらヒアリングを行いました。
また色や形に関しては完全にお任せということだったので、制限がなく自由な反面、これからKanonの顔となるものを私が制作することへの不安が更に更に増していきました。
ヒアリングから見えてきたキーワード
ヒアリングを行っていく中で沢山のKanonらしい言葉が出てきました。
(このワードは後にvaluesを決める際にもとても役立ったのですがそれはまた改めてお話しします。)
心地よい、人生への彩り、個性、平等、ご縁、三方よし、揺るがない芯、点と点を線でつなぐ
などなど。 (全部掲載したいですが書ききれません)
その中でもよりKanonが大切にしたい想いを絞り出した時にこちらの3つのキーワードが生まれました。
選択肢
ご縁・つながり
フェア・誠実
Kanonのミッションである、「心地よい選択のできる世界をつくる」という想いを一番大事にしながら、私たちが今後どういった姿でみられていきたいのか、どういう姿で在るべきなのかを重視した際に生まれたワードです。
またロゴを制作すると同時に、Kanonというブランドについても同時に考えることとなり、予想以上の大型プロジェクトとして進行をしていきました。
初めてのロゴ制作
ここではロゴを制作した手順を書いていきます。
1.他社、街のロゴをひたすら見る
世の中には既に、プロの方が制作された沢山の良いロゴが生み出されています。
今までロゴに意識を置いていなかった私は、とにかく街のロゴを見漁りました。
このロゴはなにを表しているのか、なにを表現したいのか、なぜこんなにも想いが伝わってくるのか。
そういった観点でさまざまなロゴを見ては、研究を重ねました。
またロゴに関する本やピンタレストも同様にひたすら見て、上記の方法と同様にデザインの引き出しやヒントを自分の中に増やしていきました。
2.とにかくただただラフ案を書きまくる
次にヒアリングから生み出された言葉をひたすら形に表しました。
心地よい選択のできる世界とはいわゆるどういう状態なのか、
誠実・フェアな関係はどういうデザインに表したらいいのか、
この形で本当に想いは伝わるのか、
などと自問自答繰り返しながら、数を重視で思いつく限りの形を書き表しました。
3.イラストレーターでデザインに書き起こす
次にある程度形が決まったものをイラストレーターで書き起こす作業に移りました。
当時、あまりイラストレーターを使用したことがなかった私は、ツールの操作方法を調べるところからがスタート。
「円を2つ繋げる」「円を半分にきる」「カーブを綺麗に描く」ことさえわからなかったため、一つ一つ調べながら制作を進めました。
(今思うとなぜその様な状態で引き受けたのか自分に恐怖を感じます。)
まずはデザイン案のみの提出
ヒアリングからの情報を一つ一つ形にしていき、ある一つの形にいきつきました。
それがこちらです。
3つのキーワードはこういった形で表しました。
フェア・誠実
同じ長さの長方形を3つ並べることで、お客様、パートナー、Kanon自身(クリエイター)に対してフェア・公平であるという考えを表しました。
選択肢
心地よい選択ができる状態=選択肢がある状態という考えから、選択肢=∞という想いを込めました。
また繰り返すことで、そんな世界をつくることに挑戦し続けるという意味も込められています。
ご縁・つながり
円でご縁・つながりを表し、点で結ぶことで物事を点でつなげて捉えるという考えを表しました。
今思えば浅はかなのですが、「もうこのロゴしか考えられない!」と思いこの1案のみをブラッシュアップし、(これがのちの悲劇の始まりです。)提案資料と共にかなさんにお見せしました。
生きた心地がしないまま、提案資料と共に一つ一つできるだけ丁寧に説明をしながら、初稿をお見せしました。
結果、、、
とても喜んでいただけて、本当にこころの底から安心しました。
何しろ一案しか提出していないため、ここでズレが生じてしまうと、0からやり直しになってしまう、、、という不安もあり、よりホッとしました。
そこからいただいたフィードバックを基に、何度かブラッシュアップを重ね、また他の先輩デザイナーの方にアドバイスや添削をしていただきながら、制作をし始めて4ヶ月でこの形に決まりました。
最終的にこちらのデザインに決まりました。
何もかもが初めてで大変だったけど、無事にロゴを納品できてよかった。
ようやく終わった、、と一安心していた納品後の翌日の夕方、かなさんから一本の電話がきました。
悲劇
「ごめんなさい、もう一度ロゴを制作し直してくれないかな?ずっとあった小さな違和感が次第に大きくなってしまいまして」
「分かりました」
最初のご依頼時とは違い、今回は即答で返事を返しました。
なぜなら、かなさんがどこか納得がいっていないということは、わかっていたからです。
ただこれもまたどこかで、もうこれ以上のものは作れない、作りたくないと思ってしまい、気付かないふりをしていました。(デザイナーとしてはあるまじき行為です)
制作のやり直し
そこからまた再度、ヒアリングを行いました。
どこが気に入っていないのか、何に違和感を感じているか、慎重にヒアリングをおこないながら、ひとつひとつ違和感を言語化していきました。
主に出てきたのは以下です。
- もう少し左右対称にしたい。
- すこし形が複雑すぎる。
- 要素は残したままよりシンプルにして欲しい。
要素や想いは気に入っていただけていたため、それらは変更せず、より左右対称に、よりシンプルに、といった想いに応えるべく、再度ただひたすらラフ案を描き続け、、描き続け、描き続けました。
ただ今回は前回の反省点を含め、ラフ案の段階から一緒に進行を行い、いくつかのラフ案の中から選んでいただいたものもブラッシュアップしていきました。
そして最終的に出来上がったのがこちらのロゴです。
今思うと、当初のロゴは想いが入りすぎて、結局何を伝えたいのかがわかりづらくなっていたのですが、ここまでシンプルに削ぎ落とした結果、より想いが伝わる様なロゴになったと思います。
また最初の段階ではあまり気にしていなかったのですが、今回のクライアントであるかなさん自身が心地よいと感じるデザインというのも意識し直した結果、最終的にこの形にたどり着くことができました。
初めてのロゴ制作での気付き
今回初めてロゴを制作させていただいた中で沢山のことを学びました。
主に3つに分けて書きたいと思います。
1.ヒアリングの大切さ
今回、当初の予定よりロゴ制作に時間がかかってしまった大きな原因は、主にここにあると思います。
社外のお客様に初稿デザインを見せる場合は、通常ラフ案をお見せすることはあまりないかと思いますが、今回はあくまで自社のロゴ。であればもう少し、コミニュケーションやヒアリングを行いながら進行するべきだったと思いました。
「いつでも相談してくれていいからね」とおっしゃっていただいていたのにも関わらず、今ある情報で足りると一人で信じ、最終的に着地点がずれ、制作をし直すといった事態に陥りました。
一つでも悩むことや、わからないことなどあれば、徹底的にヒアリングを行う、頭の中のイメージを照らし合わせるために何度もすり合わせを行う。
こういったあたり前のことがデザインを作るうえで、また期待値以上のものを提供する為にはとても大事なことだと思いました。
2.デザイン案の出し方
今回、一案のみの提出をしていなかったのは私のただのエゴだったと思いました。
「このデザインしかない」と思っていたのは私だけで、とはいえ選択肢が多ければいいというわけでもありませんが、認識のズレや、よりお客様が求めているデザインを生み出すためにはやはり、最低でも3案は出す必要があると思いました。
(特に今回私の場合、ロゴを一度も制作したことのない人間ならなおさらですね。)
3.デザインの考え方
ここは今でも明確な答えは分かりませんが、デザインとはただかっこいものを制作するわけではなく、そのデザインを伝えたい対象者がいて、目的があって初めて成り立つことだということです。
(とても当たり前のことですが)
特に今回の様な会社のロゴは、会社のイメージや今後作っていきたい世界を表すものだと考えた時に、
=それは誰にとってのイメージなのか、その世界を作ることで対象者はなにを感じ、なにを得るのか。
こういったことが大事になってくるのだと思いました。
最後に
今回ロゴを制作するにあたって、ディレクション からからデザインまで一貫して私が行いましたが、その過程でいろいろな方に助けていただきました。
ツールの使い方から始まり、デザインの考え方、提案資料の作り方など、全てにおいて経験の浅かった私には到底このプロジェクトを1人で終えることはできなかったです。
線が綺麗にかけなかったら丁寧に教えくださる方がいて、
デザイン案に悩んだら深夜遅くまで壁打ちしてくださる方がいて、
そういった方たちの手助けで今回の制作を終えることができました。
関わってくださった方、皆さんに本当に感謝しております。
本当にありがとうございました。
今回の気づきをこれからのデザイン制作に活かしていける様、デザイナーとしてさらに努力をしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。