運ばれた場所で、しなやかに咲く。地方で輝く!「柔軟性」「共感力」が拓くキャリアの可能性|たけおか ゆきこ

Kanonは「心地よい選択のできる世界をつくる」をミッションに、クリエイティブの制作を行うベンチャー企業です。

人生は常に選択の連続。1つの選択が明日の自分をつくり、時に運命さえも変えてしまう。その1つ1つの選択に納得感を持てる人が増えたら、そしてその選択が誰かの笑顔に繋がるとすれば、人々の幸福度はあがり、幸福の連鎖を生み続けられるのではないかと私たちは考えます。

Kanonの主軸事業であるKanonCreators(クリエイティブ制作事業)でご活躍いただいているPRデザイナーのたけおかゆきこさんにインタビューを行いました。「好き」をベースに「柔軟性」「共感力」「可愛げ」などの非認知能力を磨き、ライフイベントによる偶発的な路線変更さえキャリア構築のチャンスにしてしまう、ゆきこさん。どこに置かれても輝ける、しなやかな働き方をご紹介します。 ※2024年3月取材

目次

流れに導かれて「PRデザイナー」に

ーー自己紹介をお願いします。

PRデザイナーのたけおかゆきこです。Webのデザインはもちろん、 チラシや広報のお手伝い、ディレクションなど、  PR広告宣伝にまつわる様々なことを、お客様にとって最適なサイズでサポートしています。 

出身は福岡県、鹿児島県在住です。

ーー「PRデザイナー」と「PR担当者」や「デザイナー」 は、どう違うのですか? 

「デザインだけ」「広報だけ」ではなく、PR全体を設計(デザイン)するという意味で「PRデザイナー」と肩書きをつけました。 

ーー PRやデザインという仕事と出会ったきっかけは?

学生の頃、テレビCMやポスターなどの、広告類を見るのが好きでした。好きな広告を切り抜いて持っていたり。まず「好き」がベースにありました。

卒業後、地元のテーマパークに就職して、現場経験を何年か積んだあと、人事異動でPRの担当部署に配属されました。

そこで、広報や宣伝にまつわるあらゆることを経験させてもらいました。 3〜4人のスタッフで、PR戦略を立てたり、広報活動をしたり、Webやデザインのディレクションなど多岐にわたり担当していました。テレビCM制作のような大きな案件は、 広告会社の協力を得て回していました。

そこで、一人何役もやっていたことが、結果として強みになったのかな、と、今では思います。

ーー現場からPRの部署に転属になったのは、 希望を出されたんですか?

異動時には出していませんでした。ですが入社してすぐ、まだ配属が決まる前の段階で「 PRに興味がある」と先輩に話したことはありました。 

ーー導かれるように…素敵ですね!

担当部署に配属されてからは、PRの仕事を1から教えてもらいました。また、現場で広告全般を、深くはないけれども広く見る経験ができました。それが、自分が好きだったことと、ピタッと合ったんです。だから熱意を持って仕事ができたし、積極的に調べたり、勉強もしました。

PR担当部署は、会社の顔なので、責任感のような意識が強くあって、見合ったことをしなければいけない、と必死で勉強しました。

入社直後に、直接お客様と接する現場で経験を積むことができたので、広告を見るお客様やスタッフの顔が思い浮かべられたことも良かったと思っています。「人生、すべてが何かに活きる」ことを、身をもって経験させてもらいました。

その後、転職して一般企業のPR部署の専任になり、さらに少ない人数でPRを担当しました。当時インハウスデザイナーもいなかったので、デザイン制作もするようになり、勉強して知識や経験を積み上げていきました。

この頃から好きに忠実でした

結婚を機に退職、フリーランスに

ーー 2社目で、さらにできることや視野が広がったようですが、その後フリーランスになるまでの心境の変化や経緯を教えていただけますか?

当時私は会社が好きだったので、辞めたいとかフリーランスとして独立したいとは、全く思っていませんでした。ですが結婚して引っ越しをすることになり、辞めざるを得なくなってしまいました。

最初は所属する場所がなくなって、不安しかありませんでしたが、業務委託で少しずつお仕事をいただけるようになっていきました。

コロナ禍の学びと転機

その後、コロナウイルス感染症が流行し、オンラインで仕事をするスタイルが普及しました。自宅で無料で学べるオンラインセミナーも増えたので、チャンスだと感じ、さまざまなことを学びはじめました。

学ぶうちに、自分の世界が狭いことにも気づきました。世界はすごいスピードで変化しているのに、ずっと自分だけでやっていては何の広がりもないし、取り残されていく気がしました。それに、転居してから数年経っているのに知り合いがとても少ないという寂しさもあって、地域のイベントに参加してみることにしたんです。

それが大きな転機になりました。

住んでいる土地で実際に友だちができて、人ともつながり始めて、一気に世界が広がりました。イベントで交流した際、PRデザイナーであることを伝えていた方々が、思い出してお声かけくださるようになりました。そこから少しずつご紹介をいただいて、今に至ります。

偶発的な出来事をポジティブに捉えて、キャリアアップする
ーー偶発的な出来事をポジティブに捉えてキャリア構築していく、プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstance)な生き方をされていてすばらしいですね。

以前、ある先輩が「柔軟性」の大切さと、その資質が私にあることをお話くださいました。「もし乗っている船の行き先が違うと感じたら、その時は軽やかに乗り換えて、路線変更しても良い」のだと。その言葉に、背中を押された気がしました。

ーー女性は、妊娠・出産だったり、結婚相手の職場の近くに住まいを変えるとか、キャリアの序盤で路線変更を迫られることが比較的多いですもんね。

人事異動やコロナの流行は男女問わずですが、現実に、偶発的な出来事が起こる可能性は、男性より女性が多いと感じています。

目の前に来た!と気づいてから対応するのは、効率が悪く見えますが、状況の変化にフレキシブルに対応していくというやり方が、自分には合っていると思います。

ーー目標設定をしてそこから逆算することが「正」とされがちですが、目標を決めきってしまうと逆にそこまで“しか”いけない限界も作ってしまいますもんね。「置かれた場所で咲きなさい」( “Bloom where God has planted you. ”)という言葉にもあるように、例え立てた目標や決めたルートから外れたとしても、それも正しかったと言えるフレキシブルさが女性には合う人が多いのかもしれませんね。

自分を深掘りして、そこから10年後、20年後の自分の人生やキャリアを綿密に設計する、というやり方が私には向いていなくて。流されて流れて今ここにいる、というような人生ですが、その場所で必要とされることを勉強して、スキルアップして、ということを、ずっと積み重ねてきました。

人との出会いや巡り合わせにも恵まれて、行く先々で誰かが手を貸してくれたり。わからない時は教えてくれる人が、いつも周りにいてくれました。

ーーゆきこさんの素直さや、共感力の高さが、巻き込み力の鍵な気がします。

2社目の先輩が「人は可愛げだ」と言っていたことも、心に留めています。プロだからといって、何でも知っているわけではない。お客様の方が商品やサービスについてはよく理解されているし、若い人の方が新しいことを知っている。そういう時は、素直に、可愛げを持って「教えてください」と聞いてしまいます。

ーー確かにゆきこさん、聞くの上手ですよね。「可愛げ」が秘訣なのですね!
古い建物や場所、宇宙っぽい遊具、変な落とし物に目がないです。

「PR デザイナー 」という仕事の魅力

ーー「PRデザイナー」の魅力はどんなことですか?

広告・宣伝に、元々興味があったのですが、「デザインだけ」「Webだけ」ではなくトータルでやっているのは、1部分だけでは効果が出にくいからです。

例えば、自分がお客様側だった時、これをやるならもっと上流から考えた方がいいのに、と思うことがよくありました。1部分だけではなく、全体最適を考えて取り組めた方が効果は出やすいです。それができるのがPRデザイナーの面白さ、やりがいを感じるところです。

ーーこれまでに携わった仕事で、嬉しかったことや、実際に効果があって良かったことは?

お客様に感謝していただけると、お役に立てたと感じられて嬉しくなりますし、お客様が喜んでくださる姿や笑顔を見られることに、大きなやりがいを感じます。

「ホームページを作って公開したら、お問い合わせが来たんです!」と言っていただけた時は、とても嬉しいです。「プレスリリースを出したら、取材が来ました!」という具体的な効果もそうですし。

また、最初にお会いして、ヒアリングして、企画提案する段階で感謝されることも多いんです。「こんなにしっかりヒアリングして、自分(お客様)のことを考えてくれるとは思いませんでした」と言われると、当たり前だと思ってやっていたことにも価値を感じていただけたと思えて、嬉しいです。

KanonCreatorsへの地方からの参加は?

ーーKanonとの出会いや、現在の印象について教えてください。

共通の知人の紹介で、流れるように(笑)ご一緒できることになりました。

Kanonは人間関係がフラットな組織だと思います。お客様、受発注するクリエイターにかかわらず、対等で話しやすい、相談がしやすい関係性があります。皆が一緒にゴールを向いている、同じ目線という印象を受けました。

ーーKanonCreatorsには、北は北海道から、最南端は鹿児島のゆきこさんまで、全国各地からクリエイターが参加してくれています。本社は東京で、距離が離れていますがやりにくいなと感じることはありませんか?

正直はじめは不安な部分もありましたが、今はありません。Slackで日常的なやりとりはできますし、こうしてお話しする機会もつくっていただけています。また、折に触れ、地方在住のクリエイターとも会う機会を設けてくださっているので、心理的な距離も感じません。

ふだん私は、ディレクターからデザインまで一人でやることが多く、たまにライターやイラストレーターとチームを組むこともあります。Kanonとのお仕事は、後者のチーム戦の感覚です。社員さんやデザイナーさんとご一緒できて、一人の限界を超えた仕事が可能な環境を作ってくださっていることが、心強く、ありがたいです。

東京にてKanonメンバーとランチをご一緒しました。

Kanonのミッション「心地よい選択のできる世界を作る」について思うこと

ーー最後に、Kanonのミッション「心地よい選択のできる世界を作る」について、ゆきこさんなりの解釈を教えてください。

日々お客様と話していると、その方が過去に他の選択肢を知らないまま、宣伝ツールを制作していて、もったいないと思うことが多々あります。

例えば、ホームページとチラシのデザインが全然違うことがありました。Web制作会社にホームページを任せて、チラシは別のデザイナーに声をかけて、別々に依頼した結果、一貫性がなくなってしまう。

決して制作者が悪いと言っているわけではありません。それぞれ、依頼されたことに、プロとして仕事をした結果だと思います。ただ、どうしても、デザインだけ、ディレクションだけでは、思考が偏ってしまいます。制作担当者が、自分ができる範囲内での選択肢の提案になってしまう現状を、打破したいです。

私たちがつくるものは、最終的には制作者ではなく、お客様のものです。にもかかわらず、制作側に提案されたら、プロが言っているんだから口を挟めない、というような関係性で、お金も時間も無駄になってしまうのは、とても残念です。

ーー私たち制作サイドが、お客様の悩みや課題を俯瞰して、なるべく上流の戦略から情報提供しそれにご納得いただく、すなわちお客様にとって“心地よい選択”ができるような提案をしていきたいですね。

なのでせっかくオファーいただいたお仕事を白紙にしてしまうことも、実際にあります。つい最近も「LPを作りたい」とご相談いただきヒアリングしていくうちに、今優先すべきはLPではない、ということになり、そのお仕事はなくなりました。

それでも、お客様にとって納得感のある選択をしていただけた実感があります。その方からは「これから先、いつになるか分からないですけど、こういうことがあったら紹介させていただいたり、お声かけしても良いですか?」と言っていただけました。じっくりお話しした甲斐があったと思っています。

ーー企業や事業主は収益を上げる必要もあるので、難しい課題ですが、お客様にとっての心地よい選択を増やしていきたいですね。

今後どういう風に「心地よい選択」を切り拓いていきたいか?

ーーそんなゆきこさんは、今後どのように「心地よい選択」を切り拓いていきたいですか?

流れにまかせるのが良いときと、そうでないときがあります。そのときどきに、自分で最適解を選び取れるようにしていきたいです。そして、挑戦や学びは、これからも続けていきます。

最後に、私、博多華丸大吉さんが大好きなのですが、先日の「情熱大陸」(2024年2月18日放送)での発言に、とても共感したんです。「自分たちがこうなりたいとか、これやりたいとか、おそらく一度も言ったことない。みんながこうやって33年間運んでくれたイメージ。花粉ですね。」という内容でした。

これを聞いて、「あぁ、私も花粉だ」と思ったんです。(笑)流されて、運ばれて。辿りついた先で、受粉するのを誰かが助けてくれて、花が開く。そんな風にやってきたし、これからもやって行くのかな、と。

好きを大切に、流されて、運ばれて。

聞き手:岩津加奈(XInstagram
編集・文:西田美佐
サムネイルデザイン:竹田美穂(Instagram

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WRITTEN BY

「心地よい選択のできる世界をつくる」をミッションに掲げるクリエィティブカンパニーです。

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